PROTOTYPING REPORT | 2016.10.25

通信するコンセント「SMILE LOCK」による充電革命

  SMILE LOCKでコンセントのシェアを現実に SMILE LOCKでコンセントのシェアを現実に かねてよりOPEN ROAD PROJECTでは、「どこでもSTATION」というプロトタイピングを進めてきた。これは新しく充電施設を建てるのではなく、街中にある使用されていないコンセントをシェアすることで、i-ROADの充電環境を整えようという取り組み。しかし従来、街中のコンセントはオーナーや個人の持ち物。当然、コンセント利用によってかかるお金も、そのコンセントの持ち主に請求される。そこで、この電気とお金の流れをもっと自由にしようと誕生したのが「SMILE LOCK」だ。コンセント自体に通信機能を持たせることで、誰が、いつ、どれくらい充電したかを随時、記録。「使った人が、使った分だけ料金を支払う」というシンプルなシステムで、コンセントのシェアを現実のものへと近づける。パソコン、スマートフォン、タブレットなどの普及によって、「充電」を取り囲む環境はここ数年、大きく変化した。コンセントを開放するカフェなどの店舗が増えたのもその一例だろう。充電環境の整備は、もはやi-ROADだけの課題ではない。SMILE LOCKが電気自動車のみならず、「充電」そのものを次のステージへ引き上げる。 SMILE LOCK 電気をシェアするための認証型コンセント http://openroad-project.com/prototyping/smile-lock   TEXT BY Ryoko Sugimoto(contributor)PHOTOGRAPHS BY Yuta Nishida 25 October 2016

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PROTOTYPING REPORT | 2016.7.8

オリジナルi-ROADは、世界一愛しいクルマ

フロントパネルを取り付けた瞬間に「私のi-ROAD」になった フロントパネルを取り付けた瞬間に「私のi-ROAD」になった ―― 試行錯誤の末、ようやく完成したフロントパネル。ご自宅に届いたときは、どのような感想を持たれたのでしょうか。 利倉さん「箱を開けた瞬間、想像以上のかっこよさに“おおお!”と言ってしまいました。さっそくi-ROADに取り付けると、これがまたさらにかっこよくて。あまりの嬉しさに、すぐにデザイナーさんに電話をかけました」 梅澤さん「オリジナルパネルを装着した瞬間、i-ROADへの愛着が倍増しませんでしたか?それまでは借り物という意識だったのですが、パネルを付けてからは、“私のi-ROADを見て!”という気分で乗るようになっちゃいました」 利倉さん「そうそう、おかげでi-ROADを返却するときの悲しみも倍増。返すだけなのに、俺のi-ROADが奪われた!という気持ちになってしまって困りました(笑)」 梅澤さん「この世に一台だけだと思うと、自然と愛情が深まって、もっともっと大事にかわいがろう!となる。子どもに名前を付けたときと似た感覚を覚えました」 人のデザインもいいけれど、自分のデザインはもっといい 人のデザインもいいけれど、自分のデザインはもっといい ―― 5月のツーリングでお互いのフロントパネルを見たときは、どのように感じましたか? 利倉さん「オリジナリティのすごさに圧巻ですよ。桜の華やかさに、正直ちょっと嫉妬しました。今度つくる機会があれば僕も四季をテーマにしたいとひそかに思っています」 梅澤さん「私は私で、いかにi-ROADに馴染むかにこだわった利倉さんの“大人のたしなみ”とも呼べるセンスをうらやましく思いましたよ。私は最初からアピールして目立つことだけを考えていたので、こんな発想があったんだと驚いちゃって。たった二人でもこれだけ対照的なパネルができあがるということは、きっと作った人の数だけ、違った個性のデザインのパネルが生まれるんでしょうね」 利倉さん「ただ、どれだけ他のパネルがよくても、心のどこかで“やっぱり自分のパネルが一番”と思っているはず。少なくとも僕は思っています(笑)」 梅澤さん「ちなみに私も思っています。でもそこがオリジナルの良さですよね。世界に一台しかない自分だけの愛しいクルマになるわけですから!」 お互いのデザインを認めながらも、「自分のパネルが自慢で仕方がない」といった様子の利倉さんと梅澤さん。i-ROADについても、愛車というより、もっと身近で、大切なパートナーについて語っているように見えた。オリジナルのパネルは、人とi-ROADの距離を近づけるのかもしれない。 TEXT BY Ryoko Sugimoto (contributor) PHOTOGRAPHS BY Tomoyuki Kato / Yuta Nishida ISSUED : 8 July 2016 Article Index 3Dプリンターサービス「ROAD KITCHEN」 ユーザーインタビュー VOL.2 「オリジナルi-ROADは、世界一愛しいクルマ」 8 July 2016 3Dプリンターサービス「ROAD KITCHEN」 ユーザーインタビュー VOL.1 「「好き」をうまく導いてもらった先に、私だけのデザインがあった」 1 July 2016 Article Index 8 July 2016 3Dプリンターサービス「ROAD KITCHEN」 ユーザーインタビュー VOL.2 「オリジナルi-ROADは、世界一愛しいクルマ」 1 July 2016 3Dプリンターサービス「ROAD KITCHEN」 ユーザーインタビュー VOL.1 「「好き」をうまく導いてもらった先に、私だけのデザインがあった」

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PROTOTYPING REPORT | 2016.7.1

「好き」をうまく導いてもらった先に、私だけのデザインがあった

目立つ? なじむ?デザインの好みは人それぞれ 目立つ?なじむ? デザインの好みは人それぞれ ―― 利倉さんはメカっぽい色合いとフォルムが特徴的で、梅澤さんのパネルはとにかく華やかな印象。ずいぶんと対照的な二枚のフロントパネルですが、どのような発想から生まれたのでしょうか。 利倉さん「i-ROADをはじめて見たときに、未来っぽさがありながらも、どこかアニメのようなポップさも感じ、車体のデザインそのものをとても気に入ったんです。だからその世界観を壊さないよう、あくまでi-ROADにマッチするフロントパネルにしようと決めました。デザインを考えるうえで真っ先に浮かんだのが“宇宙”。パッと見は黒色だけれど、光が当たると青く見える絶妙なカラーリングに、星をかたどりたい。このアイデアがすべての出発点でした」 梅澤さん「私は最初から“とことん自分色を出そう!”としか考えていませんでしたね。桜のモチーフはすぐに決まりました。4月生まれの私にとって桜は特別な花。子どもの名前に“桜”の漢字を使うくらい好きなんです。今回はちょうど試乗期間が4月だったこともあり、桜のパネルをつけたi-ROADで、満開の桜の下を走りたいと。次に、ただ華やかなだけでの桜ではなく、散りゆくはかなさも表現したいと考え、切り紙のデザインを思いつきました。表のテーマが自分らしさだとすると、裏のテーマはクールジャパン。トヨタが日本の企業であることも踏まえ、日本らしい美をまとったフロントパネルにしようと思いました」 デザイナーの一言が思い付きをデザインに変えた デザイナーの一言が思い付きをデザインに変えた ―― お二人の発想を実際に形にしていったのは、クラウドソーシングサービスのランサーズに登録する3Dデザイナー。アイデアを書き込んだディレクションシートとスカイプでの打ち合わせで製作を進めたと聞いていますが、デザイナーから意見をもらうこともあったのでしょうか? 梅澤さん「3Dプリンターってまだまだ一般化されていないので、こちらも何ができて、何ができないのかさっぱり分からない。でもデザイナーさんが、私のアイデアと技術的な部分とうまくチューニングしてくれるので、3Dの知識がゼロでも不安を感じませんでした」 利倉さん「最初、僕のアイデアが具体的ではなくフワッとしていたので、デザイナーさんにうまく伝わるかどうか心配をしていたのですが、話す中でふと“ガンダムは好きですか?”と聞いてくださったんです。すると“あ、そういえば俺、ガンダム好きだわ”となって。そのワードが出たおかげで方向性がばちっと決まったようなものですね。こちらの想いをくみ取り、共有しやすい言葉にしてくれるあたりがプロだなと感じました」 梅澤さん「私も桜の並べ方ですごく悩んだのですが、デザイナーさんが“大きい桜を並べるとポップですし、小さい桜を並べると繊細な印象になります”とアドバイスをくれて。それでいろいろなサイズをランダムに並べようという答えにたどり着きました。いま振り返ると、デザイナーさんが私の意見を尊重しながら、完成までうまく導いてくれていたんだなと思います」 利倉さん「梅澤さんのパネルは、桜にまじって家紋が入っているのがおもしろい。家紋はどのタイミングで入れることにしたんですか?」 梅澤さん「ディレクションシートに、なんとなく思いつきで“家紋なんかもおもしろいかも?”って書いて渡したら、デザイナーさんが“いいですね!”と乗ってくださったんです。書いた段階では“これはイケてるのか?”と少し迷いがあったのですが、デザイナーさんが背中を押してくれたので入れてみました。これが結果的に大正解!デザイナーさんのアドバイスがなければ、ここまで満足のいくパネルは生まれていなかったんじゃないかな」。 後編「オリジナルi-ROADは、世界一愛しいクルマ」に続く TEXT BY Ryoko Sugimoto (contributor) PHOTOGRAPHS BY Tomoyuki Kato / Yuta Nishida ISSUED : 1 July 2016 Article Index 3Dプリンターサービス「ROAD KITCHEN」 ユーザーインタビュー VOL.2 「オリジナルi-ROADは、世界一愛しいクルマ」 8 July 2016 3Dプリンターサービス「ROAD KITCHEN」 ユーザーインタビュー VOL.1 「「好き」をうまく導いてもらった先に、私だけのデザインがあった」 1 July 2016 Article Index 8 July 2016 3Dプリンターサービス「ROAD KITCHEN」 ユーザーインタビュー VOL.2 「オリジナルi-ROADは、世界一愛しいクルマ」 1 July 2016 3Dプリンターサービス「ROAD KITCHEN」 ユーザーインタビュー VOL.1 「「好き」をうまく導いてもらった先に、私だけのデザインがあった」

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PROTOTYPING REPORT | 2016.3.23

「SOUND-X」とは?

i-ROADとこれまでに無いサービスを組み合わせることで、「都市の移動を、もっと自由に」するべく、日々、チャレンジし続けているOPEN ROAD PROJECTのプロトタイピング。今回はi-ROADの実走行データを活用し、走行音のデザインに取り組んだ。その名も「SOUND-X」。シーンに合わせた走行音の着せ替えは、私たちのドライブ体験をどのように変えるのか。詳細はリンク先をチェックしてほしい。 SOUND-X ♪× ( km/h × deg × m/s² ) http://openroad-project.com/prototyping/sound-x   TEXT BY Ryoko Sugimoto(contributor) 23 March 2016

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PROTOTYPING REPORT | 2016.2.4

“ものづくりの街”と3Dプリンターの新たな展望

米山敏史(よねやま・としふみ) 米山工業株式会社 専務取締役 新潟県三条市で金属加工業に携わる米山工業にて、2011年より新たに3Dプリント事業を立ち上げ。ネット経由で3Dデータを出力するサービスのほか、「YONEYAMA BRAND」での自社プロダクト開発、広報担当としてヒューマノイドロボットPepperを導入するなど、新たな試みを展開している。米山工業は1969年創業。自動車部品をはじめ、金属プレス加工や溶接加工で高い技術力を誇っている。 YONEYAMA BRAND公式サイト http://yoneyamax.com/ 金属加工用の高圧油圧プレス機がずらりと並ぶ工場内。1台ごとに職人が1人ずつ付きっきりで見守る中、平らな金属板が一瞬にして立体的な形状に成型されていく。   デジタルファブリケーションと 職人技術の、意外な接点 デジタルファブリケーションと職人技術の、意外な接点 「ROAD KITCHEN」の取り組みのうち、i-ROADの運転席に取り付けて、ペットボトルやサングラスなどの小物入れとして使用できる便利な「マルチホルダー」。試乗パイロット自身が好きな色や柄を指定し、3Dプリンターで出力を行うことで金型が不要となり、通常は相当数の初期ロットが必要となる樹脂製品を1点から提供できるという、デジタルファブリケーションならではの“多品種少量生産”を実現した。 このマルチホルダーの3Dプリンティングと、磨きや染色などの最終仕上げ加工に携わったのが、新潟県三条市の米山工業。三条市といえば、日本のものづくりを支える職人たちの街として、隣接する燕市とともに“燕三条”の呼び名で知られる地域だ。 前回の記事で、ROAD KITCHENのパートナーとして開発に携わった株式会社カブクの稲田雅彦代表は、マルチホルダーの仕上がりを「日本ならではの、圧倒的なクオリティ」と賞賛。3Dプリンターを用いたものづくりを新たな次元へと導く米山工業の取り組みについて、同社で3Dプリント事業を推進してきた米山敏史専務に話を聞いた。 ―― 今回、マルチホルダーの3Dプリンティングと最終加工に携わることになったきっかけについて教えてください。 米山敏史 一般的に3Dプリンターといえば、「どんな形でもデータさえあれば、あとは出力するだけ」という“夢のマシン”だとイメージされているようですが、じつはその扱いには高い技術とノウハウが必要です。その点を評価いただいて、カブクさんからお声がけをいただいたのだと思います。 —— なるほど。3Dプリンターを扱うにあたり、どのような点に気を付けていますか。 米山 我が社はもともと、自動車部品などの金属プレス加工を手がけてきた会社です。日頃から0.1ミリ単位で厳しく精度とクオリティを追求してきたことが、新たに立ち上げた3Dプリンティング事業にも役立っています。例えば、何かに装着したり、固定したりするものを作る際には0.1ミリ単位の精度が求められますが、3Dプリンターで0.1ミリ単位の誤差をなくすことは、なかなか容易なことではありません。機械や素材の特性をきちんと理解し、その製品にあった加工・出力を行う技術が必要です。その上で今回のマルチホルダーの出力にあたっても、ご依頼をいただいた時点で3Dデータはできあがっていましたが、乗り物に装着する上で耐振動性を考慮したり、装着時のホールド感を検証したりと、細かな提案をさせていただきました。 —— 精度を追求するにあたって、どのような3Dプリンターを使用しているのでしょう。 米山 レーザー焼結タイプといわれるもので、2013年にドイツのEOS社製のものを4000万円で購入しました。これは一般的によく知られる、細長いプラスチック樹脂を積層していくタイプとは異なり、プラスチックなどの粉末素材をレーザーで焼き固めていく方式を採用しています。このタイプの機材は導入当時で日本にわずか数台という状態でしたから、我々としてもまったくの手探りで、試行錯誤を繰り返しながらノウハウを身に付けていきました。 米山敏史 (よねやま・としふみ) 米山工業株式会社 専務取締役 新潟県三条市で金属加工業に携わる米山工業にて、2011年より新たに3Dプリント事業を立ち上げ。ネット経由で3Dデータを出力するサービスのほか、「YONEYAMA BRAND」での自社プロダクト開発、広報担当としてヒューマノイドロボットPepperを導入するなど、新たな試みを展開している。米山工業は1969年創業。自動車部品をはじめ、金属プレス加工や溶接加工で高い技術力を誇っている。 YONEYAMA BRAND公式サイト http://yoneyamax.com/ 金属加工用の高圧油圧プレス機がずらりと並ぶ工場内。1台ごとに職人が1人ずつ付きっきりで見守る中、平らな金属板が一瞬にして立体的な形状に成型されていく。 デジタルファブリケーションと 職人技術の、意外な接点 デジタルファブリケーションと職人技術の、意外な接点 「ROAD KITCHEN」の取り組みのうち、i-ROADの運転席に取り付けて、ペットボトルやサングラスなどの小物入れとして使用できる便利な「マルチホルダー」。試乗パイロット自身が好きな色や柄を指定し、3Dプリンターで出力を行うことで金型が不要となり、通常は相当数の初期ロットが必要となる樹脂製品を1点から提供できるという、デジタルファブリケーションならではの“多品種少量生産”を実現した。 このマルチホルダーの3Dプリンティングと、磨きや染色などの最終仕上げ加工に携わったのが、新潟県三条市の米山工業。三条市といえば、日本のものづくりを支える職人たちの街として、隣接する燕市とともに“燕三条”の呼び名で知られる地域だ。 前回の記事で、ROAD KITCHENのパートナーとして開発に携わった株式会社カブクの稲田雅彦代表は、マルチホルダーの仕上がりを「日本ならではの、圧倒的なクオリティ」と賞賛。3Dプリンターを用いたものづくりを新たな次元へと導く米山工業の取り組みについて、同社で3Dプリント事業を推進してきた米山敏史専務に話を聞いた。 ―― 今回、マルチホルダーの3Dプリンティングと最終加工に携わることになったきっかけについて教えてください。 米山敏史 一般的に3Dプリンターといえば、「どんな形でもデータさえあれば、あとは出力するだけ」という“夢のマシン”だとイメージされているようですが、じつはその扱いには高い技術とノウハウが必要です。その点を評価いただいて、カブクさんからお声がけをいただいたのだと思います。 —— なるほど。3Dプリンターを扱うにあたり、どのような点に気を付けていますか。 米山 我が社はもともと、自動車部品などの金属プレス加工を手がけてきた会社です。日頃から0.1ミリ単位で厳しく精度とクオリティを追求してきたことが、新たに立ち上げた3Dプリンティング事業にも役立っています。例えば、何かに装着したり、固定したりするものを作る際には0.1ミリ単位の精度が求められますが、3Dプリンターで0.1ミリ単位の誤差をなくすことは、なかなか容易なことではありません。機械や素材の特性をきちんと理解し、その製品にあった加工・出力を行う技術が必要です。その上で今回のマルチホルダーの出力にあたっても、ご依頼をいただいた時点で3Dデータはできあがっていましたが、乗り物に装着する上で耐振動性を考慮したり、装着時のホールド感を検証したりと、細かな提案をさせていただきました。 —— 精度を追求するにあたって、どのような3Dプリンターを使用しているのでしょう。 米山 レーザー焼結タイプといわれるもので、2013年にドイツのEOS社製のものを4000万円で購入しました。これは一般的によく知られる、細長いプラスチック樹脂を積層していくタイプとは異なり、プラスチックなどの粉末素材をレーザーで焼き固めていく方式を採用しています。このタイプの機材は導入当時で日本にわずか数台という状態でしたから、我々としてもまったくの手探りで、試行錯誤を繰り返しながらノウハウを身に付けていきました。   レーザー焼結タイプのプラスチック用3Dプリンター、ドイツEOS社製「FORMIGA P110」。パウダー状の微細なプラスチック粉末を敷いてレーザーで焼き固める作業を、 1層ずつ重ねることで造形していく。   地場産業の強みを活かした、 新時代の “ジャパンクオリティ” 地場産業の強みを活かした、新時代の “ジャパンクオリティ” ―― 金属加工業を営みながら、 どのような経緯で3Dプリンターを導入するに至ったのでしょうか。 米山 まだ日本で3Dプリンターが大きな話題になる前のことですが、2011年にドイツで金属加工の大型展示会「ユーロモールド」を視察した際、実物を初めて目にしたことがきっかけです。iPhoneカバーなど、3Dプリンターで出力した製品の出来がとてもよかったので、大きく興味をそそられました。帰国してさっそく、樹脂の積層造形タイプの3Dプリンターを20万円程度で購入したのですが、期待していた仕上がりとは程遠かった。使用できる素材は限られますし、強度も足りず、表面はガタガタして、とても製品として販売できるレベルではなかったのです。それはもう、悔しくて悔しくて……。そこで、本格的に最終製品レベルの出力が可能な3Dプリンターを導入しようと思い、レーザー焼結タイプの機材を導入したわけです。とはいえ、今回のマルチホルダーでは、出力後にもう1段階、研磨加工を施すことで、滑らかかつ発色のよい仕上がりを実現しています。 —— 3Dプリンターを扱うにも、三条市の地場の特徴である職人的な技術や、その他の加工法との組み合わせなどの知識が求められるということですね。 米山 はい。金属プレス機など従来の加工機械では、設置する場所や材料の質によって調整が必要なのは当然のことです。3Dプリンターの場合も同様に、パウダーの温度や廃熱の量など、使っていくうちに機械の特性がわかってくる。「3Dのデータさえあれば、世界各地でまったく同じものを出力できる」という話をよく耳にしますが、それには高い技術と知識を持った人材が必要不可欠です。3Dプリンターを扱う者の技術と経験がクオリティを大きく左右すると言っても、決して過言ではないと思います。とくに日本では高いクオリティのものづくりが当たり前になっている以上、お客様の目はごまかせません。レーザー焼結タイプであっても、3Dプリンターで出力したままの状態では、どうしても表面がざらざらしていますから、既存の射出成型のプラスチック製品とは見た目や肌触りが大きく違います。ですから、今回のマルチホルダーにおいても、地元の研磨職人に最終の磨き加工を依頼することをご提案させていただきました。 —— こうした3Dプリンターと伝統的な職人技術の組み合わせは、まさに“ものづくりの街”ならではのノウハウだと思います。 米山 そうかもしれません。ただ、射出成型であれば樹脂製品は滑らかに仕上がって当然のはずなのに、それを何故、わざわざ磨かなければいけないのかというジレンマはありました。ところが、研磨をすることで発色が格段によくなることがわかったのです。3Dプリンターで出力したそのままの状態で染色をすると、表面の細かな凹凸(おうとつ)の中に染色液が溜まって、全体的に濁った印象になってしまう。ところが、磨きをかけてから染色することで、はっきり明るい色に仕上がるのです。この発色は、3Dプリンターに関わる人が見たら驚くレベルだと思います。 3Dプリントラボ全景。空調管理された空間で職人が1名、出力された製品から余分なパウダーを取り除く作業を行っている。3Dプリンターには別フロアのCADオペレーターからデータが直接送られる仕組みだ。   “ものづくりの街” を次世代に受け継ぐ、 新たな挑戦 “ものづくりの街” を次世代に受け継ぐ、新たな挑戦 —— それだけの手間をかけてなお、3Dプリンターを使うことのメリットとは何でしょうか? 米山 それはやはり、金型が不要ということに尽きます。従来の製造方法では、時間と費用をかけてまず金型を作らなければならない。金型の制作費用を償却するには万単位の製造ロットが必要になりますが、3Dプリンターであれば1個単位で、手早く試作ができる。これは、とても大きなメリットだと思います。5年ほど前にチタン製のiPhoneカバーをオリジナル製品として発売したときのことですが、非常に好評だったものの、逆に行く先々で「Android用も作ってほしい」など、さまざまな機種用のチタン製カバーを作ってほしいと言われるようになりました。そのたびに「金型の開発に数百万かかる以上、そう簡単には作れないという事情を説明しなければいけないのが、本当に悔しかった。その経験が、3Dプリンター導入の原動力になったのだと思います。 —— いまでは、樹脂製のiPhoneカバーやカーエアコンの吹き出し口に装着するアロマポッドなど、3Dプリンターで製造したプロダクトを数多く展開されていますね。 米山 まだまだ手探りの段階ですが、こうした試みは私個人というよりも、燕市と三条市という、この地域が受け継いできたものづくりの地場があっての取り組みだと強く感じます。この土地には、あの工場は金属の鋳造、こちらは旋盤加工というように、それぞれに専門とする技術が蓄積されていて、お互いに力を合わせながら新しいことをやろうという気運がある。ものづくりを愛する気持ちがあり、1社では何もできないことを理解した上で、お互いに新しい挑戦を望んでいるのです。その上で私としても、従来のものづくりを続けるだけでは、この地場を息子たちの世代につないでいくことはできないという想いがある。常に新しい技術やアイデアを取り入れることで、産業として新たな発展につながる可能性を切り拓いていかなければならないと感じています。ですから今回のプロジェクトでも、トヨタをはじめ、カブクさんのような若い人たちと一緒にものづくりに取り組んだことは、大きな手応えになりました。3DプリンターやCNCマシンなどのデジタル工作機械には形そのものを作る力はありますが、「何を作るかというアイデアがなければ力を発揮することはできません。ですからこれからは、業種や地域をまたいで、それぞれの得意分野を組み合わせていくことに大きな意義があると思います。ぜひこれからも、新しい取り組みをご一緒させていただけたなら、嬉しいですね。   INTERVEIW & TEXT BY Keita Fukasawa (contributor) PHOTOGRAPHS BY Eiji Fukasaku ISSUED : 4 February 2016   「PROTOTYPING REPORT」バックナンバー ものづくりをオープンにすれば社会はもっと楽しくなる カブク 稲田雅彦代表インタビュー 01 3Dプリンター×日本の職人技術で切り拓く未来 カブク 稲田雅彦代表インタビュー 02 「PROTOTYPING REPORT」 バックナンバー ものづくりをオープンにすれば社会はもっと楽しくなる カブク 稲田雅彦代表インタビュー 01 3Dプリンター×日本の職人技術で切り拓く未来 カブク 稲田雅彦代表インタビュー 02

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PROTOTYPING REPORT | 2015.12.14

都市の隙間に停めてみる。

「都市の隙間」、使われていない都内の狭小スペースや空きスペースを、i-ROAD専用の駐車スペースにしてしまうプロジェクト「Small Space Parking」。この駐車サービスの登場で、私たちの暮らしはどのように変わるのでしょう。そんな未来が体感できるコンセプトムービーを、ぜひ、以下リンクからご覧ください。 Small Space Parking 都市の隙間に停めてみる。 http://openroad-project.com/prototyping/smallspaceparking   TEXT BY Ryoko Sugimoto(contributor) PHOTOGRAPHS BY Akihiko Nihonmatsu 14 December 2015

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