講演レポート「都市の移動をゼロからデザインする」

イベント

都市型パーソナルモビリティ「i-ROAD」によって、これからの都市はどのように変わっていくのだろう?
その答えを探るべく、最先端のデザインについて考えるカンファレンス&ワークショップ「WXD(ワイアード・バイ・デザイン)」に、
OPEN ROAD PROJECTが参加。5月〜6月にかけて2回の特別イベントが開催された。
その第2弾として、東京・青山のスパイラルホールで行われた、トヨタ未来プロジェクト室長の
大塚友美によるプレゼンテーションの模様をレポート。

20150804_sub01

私たちを取り巻くすべての「デザイン」について、新たな視座を切り拓くべく企画されたカンファレンス&ワークショップ「WXD(ワイアード・バイ・デザイン)」。
その一環として「未来のデザイナー」と題されたカンファレンスが開催された。
テクノロジーの発達により、かつてのように“意匠”だけを作っていればいいというデザイナー像は失効しつつある。では、これからのデザインはどうあるべきか? 各分野におけるデザインの最前線で活躍するデザイナーたちが、それぞれの立場から展望を語った。

登壇者の1人として参加したトヨタ「未来プロジェクト室」の大塚友美が、「都市の移動をゼロからデザインする」というテーマを掲げつつ語ったのは、同プロジェクトにかけた想い。
「いま、ほとんどの都市で車での移動が不自由になってしまっている」。開発のきっかけはそんな問題意識からだった。しかし、社内では賛否両論。遅々として進まぬ議論を突破すべく2014年に行ったのが、モニターテストだった。

「i-ROADでの都市の移動は楽しい」
それがモニターテストで得られた手応えだった。しかし同時に、「サイズは小さいのに駐車場は車と同じなの?」「バッテリーを気にしながら走らなければならないの?」など、今後の課題となるような声も多く寄せられた。そうした中で、大塚はある結論に達したという。
いわく、「いまの時代、メーカーはプロダクトだけなく、ユーザーの体験全体をデザインすべきである」

20150804_sub02

しかし、“ユーザーの体験をデザインする”とはどういうことか?
それは、「未来を作るプロトタイプ」を生み出すことだと大塚は語る。
その発想から生まれたのが、都内各所の使われていない狭小スペースに充電コンセントを配置し、駐車場として提供する『Small Space Parking』や、エクステリアパーツをユーザー自身がカスタマイズできる『ROAD KITCHEN』、CANデータを使い実際の都市の走りを走行音に変換して楽しめる『SOUND DRIVER』(※後日公開予定)など、OPEN ROAD PROJECTの柱となる企画群だ。
「街を変えるのは難しい。しかし、自分が変われば、もっと未来が広がっていくのでは?」 そう締めくくり、大塚のプレゼンテーションは幕を閉じた。

i-ROADは、それ単体で見れば新たな移動ツールだが、その発想は“デザイン”という営為の意義に再考を促すような、大きなポテンシャルを孕んでいる。
そのパースペクティブを「WXD」の場で明示したことが、さざ波となってカンファレンス来場者の創造性に影響を及ぼし、どのような変化を引き起こしていくのか。期待は尽きない。

 

イベント名:
WXD(ワイアード・バイ・デザイン) カンファレンス「Designers of The Future 未来のデザイナー」
日時:
2015年6月6日(土)
場所:
スパイラルホール 東京都港区南青山5-6-23 青山SPIRAL 3F

ISSUED : 4 August 2015

TEXT BY KEISUKE KAGIWADA
PHOTOGRAPHS BY Tomoyuki Kato