地図には載っていない「都市の隙間」を探して。

OPEN ROAD PROJECT 企画担当 志村和広氏インタビュー VOL.1

OPEN ROAD PROJECT INNOVATION REVIEW

OPEN ROAD PROJECTのプロトタイピングでは、これまで数々の新しいサービスを世に送り出してきた。
ここで気になるのが、新サービスが生まれたそもそものきっかけ。そこでこれから二回にわたり、プロジェクトの誕生秘話をお届けする。
まずスポットを当てたのは「Small Space Parking」。
都市の隙間である狭小スペースをi-ROAD専用の駐車場にしてしまうこのサービスは、どのように生まれ、いかに成長していったのか。
OPEN ROAD PROJECTの企画を担当する志村和広氏に話を伺った。
OPEN ROAD PROJECTのプロトタイピングでは、これまで数々の新しいサービスを世に送り出してきた。ここで気になるのが、新サービスが生まれたそもそものきっかけ。そこでこれから二回にわたり、プロジェクトの誕生秘話をお届けする。まずスポットを当てたのは「Small Space Parking」。都市の隙間である狭小スペースをi-ROAD専用の駐車場にしてしまうこのサービスは、どのように生まれ、いかに成長していったのか。OPEN ROAD PROJECTの企画を担当する志村和広氏に話を伺った。

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街の風景はそのままに、
小さな駐車場を増やしたい。

街の風景はそのままに、小さな駐車場を増やしたい。

―― 「Small Space Parking」という、新発想の駐車サービスが生まれた経緯をお聞かせください。

2014年に一般の方々に、i-ROADを貸し出すモニター調査を行いました。その時、プロダクト自体の評価は非常に高く、「楽しかった」との声をたくさんいただいたのですが、もう一方で上がってきたのが、駐車に対する不満ともとれる声でした。というのもi-ROADが小さくても、現状、一般の駐車場に停めざるを得ないわけです。実際に停めて振り返ってみると、スペースが余っているうえ、料金も普通車と同じ。なんだかしっくり来ないという感想を多くの方が持たれたようです。その声を受け、「プロダクトの改良だけを進めても、i-ROADが目指す、真の自由な移動は実現できない」と気づいたんです。つまりプロダクトと同時に、駐車サービスもセットで提供しなくては、生活は大きく変わらないだろうと。ちょうどOPEN ROAD PROJECTのプロトタイピングが立ち上がるタイミングだったこともあり、まずは駐車と充電に関するサービス、「Small Space Parking」の取り組みをはじめました。

—— 狭小スペースのネットワークはどのように作っていったのでしょうか。

今までの発想だと、専用駐車場や充電ステーションを作ろうと考えますが、i-ROADのために都市に新しいハコモノを増やす、というやり方は結局都市をまた狭いものにしてしまう。新しく施設を作るのではなく、既存のものを活用することで素早く課題をクリアしたいという想いがあったんです。そこを頭に置いたうえで街を歩いてみると、普通サイズのクルマは無理でも、i-ROADなら停められるサイズの狭小スペースが、街にはたくさんあることに気がついたのです。また、街の壁面には、現状使用されていない掃除用や自動販売機用のコンセントもたくさんあることにも気づき、これは使えるなと。すでに街にはi-ROADのチャンスはたくさんある。そんなスペースやコンセントを「使う仕組み」さえ作れば、駐車も充電もできるスペースが一気に広がると考えました。

 

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狭小スペースを見つけるのは
試乗パイロット

狭小スペースを見つけるのは試乗パイロット

―― 意外な駐車スペースに驚かされたことがあります。どのように見つけたのでしょうか。

新しいスペースの発見には試乗パイロットの皆様にご協力いただきました。僕たちは「都市を走るセンサー」と呼んでいるのですが、プロジェクトが進むにつれ、試乗パイロットの方々が新しい駐車スペースを見つけてくれるのです。地図上では発見できないような場所を、ユーザーが見つけてきてくれる流れが生まれたのはとてもおもしろかった。なかでも階段の下のスペースを活用した人がいたのには驚かされました。我々は彼らの走行データをもとに、駐車ネットワークを広げることができました。見つけると自分の生活も便利になるから、ユーザーは自分の停めたい場所をどんどん探してきてくれる。結果、サービスの駐車スペースや充電コンセントの数がどんどん増えていく。このモチベーションこそが、サービスが急速に回り始めたカギとなりました。

—— 次の課題について教えてください。

駐車サービスを始めてから、試乗パイロットの方々の開始2週間の走行距離が10倍に伸びました。これはまぎれもなくサービスの力でユーザーの生活が変わった。このデータを見た時、方向は間違っていないと強い手応えを感じました。では今後、どれくらいの数まで増やしたいかというと、ケータイのように月額で“トメホーダイ”ができるほどの数が理想。そのスケールにいくために、自然と地権者側から「うちのスペースを使ってください」とアプローチしてもらえる「シェアリング」のプラットフォームづくりが次の課題です。このビジネスのおもしろいのは、トヨタと、地権者と、i-ROADユーザーという三者のモチベーションが絶妙なバランスで組み込まれているところ。ユーザーにとっては停められる場所が増えるのはハッピーだからお金を払う価値があると思うし、自分でも探したくなる。地権者にとっては、持て余しているスペースが少しでもお金になるとハッピーだし、当然、環境が整うことはトヨタにとってもハッピー。シェアリングビジネスにおいてはこのハッピーのバランスが何より大切だと、今回のプロジェクトを通して実感しました。これはカーシェアリングを始めとして、これからのクルマと人との新しい関わり合いを考えていくうえで重要なヒントとなっていくでしょう。

後編ではi-ROADのエクステリアパーツを3Dプリンターで作る「ROAD KITCHEN」についてお届けする。

TEXT BY Ryoko Sugimoto (contributor)
PHOTOGRAPHS BY Tomoyuki Kato

ISSUED : 31 March 2016

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