ゼロからデザインしてこそ真のカスタマイズ。

OPEN ROAD PROJECT 企画担当 志村和広氏インタビュー VOL.2

OPEN ROAD PROJECT INNOVATION REVIEW

オリジナルのフロントパネルを、3Dプリンターで造形するサービス「ROAD KITCHEN」。
これまでにないクルマのカスタマイズサービス生まれた背景にはどんな声があったのか。
前編の「Small Space Parking」に引き続き、OPEN ROAD PROJECTの企画を担当する志村和広氏に伺った。
オリジナルのフロントパネルを、3Dプリンターで造形するサービス「ROAD KITCHEN」。これまでにないクルマのカスタマイズサービス生まれた背景にはどんな声があったのか。前編の「Small Space Parking」に引き続き、OPEN ROAD PROJECTの企画を担当する志村和広氏に伺った。

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i-ROADはカスタマイズしたくなるクルマ

i-ROADはカスタマイズしたくなるクルマ

―― 「ROAD KITCHEN」というカスタマイズサービスはどのように生まれたのでしょうか?

i-ROADを様々な方に何度か乗っていただくなかで、「i-ROAD自体は個性的だけれど、このクルマがもっと広がったときには、自分だけのカスタマイズしたくなりそう」という声がたくさん聞かれるようになったんです。特にバイク好きから見ると、i-ROADには“カスタマイズしたくなる要素”があるようで、バイクからi-ROADに入ってきた方はみんな口をそろえていました。こうした意見を受け、ROAD KITCHENという新サービスに着手したのです。これまでクルマでは、外装パーツのカスタマイズサービスはほとんどなかったですから、これはチャレンジのし甲斐があると感じましたね。

—— カスタマイズに際し、3Dプリンターの活用に至った経緯を教えてください。

カスタマイズといっても、従来のような型を起こす方法はコストやバリーションを考えると限界があります。また、型を作ってしまっては真のカスタマイズにはならないだろうと考えました。いまの時代であればやはりデジタルファブリケーションが方法として最適だろうと、3Dプリンターを活用したいと思いました。ただi-ROADのフロントパネルとなるとサイズが大きいため、出力できる3Dプリンターを探すのに一苦労。結局、お付き合いのあったKABUKUの稲田氏に相談し、KABUKUのネットワークで最適なプリンターを探していただきました。

—— プロジェクトのターニングポイントとなったのはいつでしょうか。

ようやくサービスが動きはじめたのですが、じつは当初、プロトタイプのテストということもあり、いくつかのデザインパターンを用意し、それをアレンジすることで、カスタマイズサービスとして提供していました。しかしプロジェクトを進めていくなか、「果たしてこのやり方をカスタマイズと呼んでいいのか?」と疑問を持ったんです。ユーザーがアレンジというレベルで満足するわけがないと。彼らが描くデザインをゼロから作ることができて、はじめてカスタマイズサービスと言えるのではないかと、プロジェクトを一から見直すことに決めました。

 

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ユーザー発想だからこそ
思いもよらないデザインが生まれる

ユーザー発想だからこそ思いもよらないデザインが生まれる

―― ゼロからデザインを起こすにあたって課題となったのは何でしょうか。

ベースデザインの活用をやめて、ユーザーが自由な発想でデザインを起こせる仕組みを考えたときに課題となったのが、デザイナーの確保。技術があり、かつ時間がとれるデザイナーをこちらで1ユーザー1デザインごとに探すのは、今後のサービス展開を考えると現実的でないと考えました。そのときに協力していただいたのがランサーズ。彼らのクラウドソースのネットワークで、今回のプロジェクトに適したデザイナーをその都度マッチングしてもらったんです。そしてようやく試乗パイロット5期から、ゼロからのデザインが可能になりました。一般のユーザーはなかなかデザインを起こすのは難しいだろうと思い、こちら側でコンセプトシートを用意し、デザイナーと写真などでイメージを共有しながら、一緒に作り上げていく仕組みにしました。

—— デザインをゼロから作るようになってから、ユーザーの反応はどのように変わりましたか。

作るときの盛り上がり、そして仕上がったときの喜びは、アレンジの段階とは比べ物にならないくらい高まりました。やっぱりアレンジ前提で用意したデザインは、どうしてもベーシックなものが多くなりがちだったのですが、第5期の試乗パイロットの方が作ったフロントパネルは、黄色に木目デザインで、これには驚かされました。思いつかないようなデザインが生まれるのは純粋に楽しかったです。あと反応という意味でおもしろかったのは海外。アメリカでこのロードキッチンを紹介したことがあったのですが、かなり反響が大きかったです。ひょっとすると海外の方が、カスタマイズ文化が盛んなのかもしれませんね。

 

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―― 今後の展開を教えてください。

3Dプリンターの出力コストの問題はありますが、コストの将来予測からするとそれはすぐに解決していくと考えています。またデータ作成の人材確保も、一般のデザイナーの方々を巻き込んでいくことで確保していける可能性がみえてきました。将来的には自由にデザインを売買できるようなプラットフォームの場にi-ROADカスタマイズのマーケットがなっていけると面白いと思っています。

「Small Space Parking」のときにもお話しましたが、今回のプロジェクトも、トヨタ、デザイナー、ユーザーと、三者のモチベーションのバランスがひじょうにいいと思っています。ユーザーは欲しいデザインを作ってもらえてハッピーですし、デザイナーは自分のスキルを活かせる場ができてハッピー。トヨタとしては当然、i-ROADの魅力が増えてハッピーです。この三者の構造がきれいなら、サービスが市場に広まったときも、ビジネスがうまく回っていくのではないでしょうか。

また、これからのi-ROADのプロトタイプ開発は、時代背景やi-ROADの車両コンセプトを考えると、今あるものを、視点を変えて活かしていく、という発想が非常に大事だと思っています。無駄になっているものに光が当たった時に輝く、そんな瞬間が非常にわくわくしますね。

「Small Space Parking」と「ROAD KITCHEN」の二つのサービスがユーザーの心に届いたのは、着眼点の秀逸さだけではなく、志村氏をはじめとするOPEN ROAD PROJECTチームの実行力があってこそだったと、インタビューを通じて分かった。思い浮かんだアイデアをすぐに形にする、そんな実行と改良の積み重ねが、「自由な都市の移動」を作っていくのだろう。

 

TEXT BY Ryoko Sugimoto (contributor)
PHOTOGRAPHS BY Tomoyuki Kato

ISSUED : 4 April 2016

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OPEN ROAD PROJECT 企画担当 志村和広氏インタビュー VOL.2 「ゼロからデザインしてこそ真のカスタマイズ」 4 April 2016

OPEN ROAD PROJECT 企画担当 志村和広氏インタビュー VOL.1 「地図には載っていない「都市の隙間」を探して」 31 March 2016

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4 April 2016

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31 March 2016

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